モーリー・ロバートソン @gjmorley 2016年7月14日 これから数行の間、おれが頭のいいことを言いますよ。 かつてロックが占めた座を、今はさまざまな原理主義が占めている。 これは右派のトランプ氏支持、左派のサンダース氏支持、 英国のコービン労働党首支持、イスラム世界のさまざまな原理主義、 そして旧ユーゴの排他的な民族主義に通底するテーマ。 https://twitter.com/gjmorley/status/753129053108985856 ととても大雑把で太い筆で輪郭を描くと、 まず社会的、経済的なストレスが臨界点を超えると原理主義が発生する。 次にそれらはソーシャルメディアを媒介に、 投票行動や集団行動のムーブメントへと急成長する。 上り調子の勢いがある時には既存のマスメディアも尻馬に乗り、ネットとマスの双方で扇動。 https://twitter.com/gjmorley/status/753129650163965952 急成長期には玉石混交、土俗的な乱声が乱れ飛び、 参加者にも傍観者にも爽快感が提供される。 ムーブメントが大きくなること自体に達成を感じる。 そして最初のピークへ。 ここまではロックの急成長した道筋と類似。 その後が問題。ピークアウトすると、より具体的で実務的な代替案が求められる。 https://twitter.com/gjmorley/status/753130194316193792 具体的、実務的な代替案は絶えず修正や微調整を必要とする。そこから感動は生まれない。 当初のムーブメントに加わった相当数のメンバーが 「そろそろ妥協して実を取った方がいい」と思い始める。 こうなるとそのムーブメントは前衛でも革命でもなくなり、 よくある体制の革新勢力に落ち着き始める。 https://twitter.com/gjmorley/status/753130682545831936 だが、世の中から不正義を駆逐する目的でムーブメントに加わった人は 「執行部」にハシゴを外されたことになり、不満を持つ。 そこでムーブメントの中でより排他的な原理主威力が優勢を占めるようになる。 選挙には負ける。負けるとますます「戦いははじまったばかりだ」と内向きな勢いが加速する。 https://twitter.com/gjmorley/status/753131677841559552 それぞれの原理主義的なムーブメントに共通しているのは 「自分たちは本当の意味での社会の主流」 「自分たちの声が体制によって妨害され、届かないようになっている」 「自分たちは既得権益のエリートたちの被害者」などなどのマイルド陰謀論。 【本来なら】正しい自分たちの意見は議論を待つまでもない… https://twitter.com/gjmorley/status/753132229971238914 これが国と状況に応じて、変数が多いアルゴリズムのように異なる解を算出するんですが、 やはりアメリカの極右ミリシアと「アベ政治は恐ろしい」の皆さんには 強く共鳴するものがある、と思ってしまう。 アベ政権にマイルドに反対、あるいは期待してない…ぐらいだとわかるんですよ、私も。 https://twitter.com/gjmorley/status/753132733132476416 「アベ」とネゴシエートの余地がない、とふる人たちは 結局何が欲しいんですか?という永遠の問いかけをしていくしかありません。 アメリカのミリシアぐらいになると世界観が閉じていて、 内側から鍵がかかってます。 幾つかのイスラム原理主義は信仰を人権に優先させ、民主主義も否定。 https://twitter.com/gjmorley/status/753133169042350081 要は「程度の問題」と自らの主義主張、美学を客観視できるかできないかの違い。 原理主義はその構造上、必ず破綻する運命にあると思う。 現実の不正義を許せず、大いなるエネルギーを集め、騒ぎ、そして内側から崩壊するという繰り返し。 次の原理主義に飛び火するケースも多いので、一回で終わらない。 https://twitter.com/gjmorley/status/753133658014220288 で、ロックですが、気持ちよく「大人たちが干渉できないもう一つの世界」を幻視できるムーブメントだった。 フェミニストから公民権活動家、反戦活動家もロックの魅力に相乗りして、 と変化を好まない大人たちのぐずぐずっぷりに一矢報いるツールとして利用した。 だが… https://twitter.com/gjmorley/status/753134267224379394 ロックが本質的に進歩的な政治運動と結びついている保証はない。 ロックスターのテッド・ヌージェントはその後NRAの活動家となり、極右思想を吹聴している。 ロックバンド内部の男女関係は圧倒的に男尊女卑的なものが多く、フェミニズムとは同床異夢。 ロックが富の再分配を唱えたケースも少ない。 https://twitter.com/gjmorley/status/753134898920120320 つまりロックの圧倒的なレガシーはそもそも破綻していて、 大人の責任感に縛られずに大冒険をするという、 永遠の少年心理に裏打ちされた、しかも男性原理的なもの。 社会が多様化した途端、その破壊力はパンツを履かされ、減衰する。 むしろファシズムやカルトの興亡の方がある意味、ロックに近い。 https://twitter.com/gjmorley/status/753135507345772545 ウッドストック→グレートフル・デッド→スティーブン・ジョブズ →ベン・アンド・ジェリーズ(アイスクリーム会社)→バーニー・サンダース氏支持 …という線だけを見ると、ロックは進歩的な政治と一体化して成長したようにも見える。 LIVEエイドもしかり。ただ… https://twitter.com/gjmorley/status/753136126433439745 ジミー・ペイジはアレイスター・クロウリーが住んでいたお城に暮らして魔術の英知を求めつつ、 ヘロインなんかやったりして、14才のグルーピーとオールナイトの性的な儀式を行ったりして、 これが左派の心ある運動にどう貢献したのかはまったく線で結べません。 ロックの真骨頂は破綻だと思うんですよ。 https://twitter.com/gjmorley/status/753136733189836800 現実の政治を起点に際どい風刺や、考えてはいけないところに思考や感性を持っていくことに置いて、 ロックはものすごい力を発揮した。 LSDを摂取することは、人によっては命懸けであり、それを肝試しとして促し続けたわけで。 「反戦!平和!セックスしようぜ!」でバンドル化して、熟慮を排したのよ。 https://twitter.com/gjmorley/status/753137350826336256 いつしかロックが「世知辛い世の中で、数少ない良心を発露する手段」になっていったのは、歴史修正。 「ナチスは絶対に悪い」というのだけがロックではなく、 思わせぶりに鉤十字をあちこちに散りばめつつ、 悪魔のお面を被って「負け組のおれだって、本当はクールなんだ」と吠えることもロック。 https://twitter.com/gjmorley/status/753138127657537536 ゴリゴリの体制派、警察官、そして「日本会議」な人たちが モーターヘッドやツェッペリンを大好きになるのもロックの魅力の一側面。 右派や保守の人に「そんなんではだめですよ」と叱ってあげる義務をロックに負わせることはできない。 学級委員としての「ロック」を排他的に再定義することは可能だけど。 https://twitter.com/gjmorley/status/753138711626260480 というわけで、社会をいい意味と悪い意味の双方で掻き乱しているポビュリズムは、 かつてのロックに近いな、と思った次第です。 https://twitter.com/gjmorley/status/753138885874417664